土壌から始まる健康 〜プラネタリーヘルスの視点から〜

土壌から始まる健康

私たちが口にする食べ物は、どのような土壌で育てられたものでしょうか。実は、健康な土壌から始まる豊かな循環が、私たちの健康と地球環境を支えています。プラネタリーヘルスの視点から、土壌の重要性と私たちの健康とのつながりについて考えてみましょう。

生命を育む土壌の力

土壌は、人を含む生き物の生態系を支える土台です。わずか1gの土壌の中には、約100万〜1000万もの土壌菌が活動しています。これらの菌が互いに影響し合いながら、豊かな生態系を形成しています。

目を凝らしても見ることのできない多種多様な菌たちは、それぞれが特別な働きを持っています。植物の生長を助ける菌、有機物を分解する菌、窒素を固定する菌など、様々な役割を分担しています。中には食中毒菌など人間から見れば「悪い菌」も存在します。しかし健康な土壌の中では、多様な菌がバランスをとることで、健全に共存しています。このような菌のバランスがとれた土壌こそが「健康な土壌」と呼べるものです。

健康な土壌が育てる栄養豊かな食べ物

健康な土壌が育てる栄養豊かな食べ物

健康な土壌で育った野菜は、元気で、おいしく、栄養価も高くなります。植物は土壌中の菌と共生関係を築き、より効率的に土壌から栄養を吸収することができるからです。

例えば、ある種の菌は植物の根と共生し、植物が単独では吸収しにくい栄養素を取り込む手助けをします。また別の菌は、有機物を分解して植物が利用しやすい形に変える役割を果たします。このような菌の働きにより、健康な土壌で育った植物は、より豊かな栄養素を蓄えることができます。

私たちがそうした野菜を食べることで、より多くの栄養素を摂取することができ、健康な身体づくりにつながります。まさに、土壌の健康が、植物の健康を通して、私たちの健康につながっています。

農業と環境と健康のつながり

現代の農業では、短期間で大量の作物を生産するために、化学肥料や農薬を使用することが一般的になっています。こうした農法は効率的な食料生産を可能にしますが、一方で土壌生態系のバランスを崩し、長期的には土壌の質を低下させる可能性があります。

土壌の質が低下すると、作物の栄養価も低下する可能性があり、さらには水質汚染や生物多様性の減少など、環境への悪影響も懸念されます。これは、プラネタリーヘルスの視点から見ると、地球環境の健康を損なうことで、結果的に人の健康にも悪影響を及ぼす可能性があることを示しています。

循環型農業の可能性

こうした課題に対して、環境と人の健康を両立する方法として注目されているのが「循環型農業」です。循環型農業は、自然の循環システムを活かし、土壌の生態系を維持しながら、持続可能な方法で作物を生産する農業のあり方です。

イービーエムの「MIRAIWA+プロジェクト」では、2023年9月に福岡県久留米市で開催された「循環型農業フォーラム」に参加し、循環型農業に関する最新知見や取り組みについて学びました。このフォーラムでは、九州大学の清水先生からキノコのエストロゲン株活性評価やあらゆるものを有効活用して無駄をなくしていくことの大切さ、立命館大学の久保先生からは土壌づくりのノウハウや農薬についての現状などの講演があり、循環型農業の重要性や可能性について理解を深める機会となりました。

循環型農業の可能性

また、2025年には農業高校である群馬県立藤岡北高等学校と連携し、土壌にフルボ酸を散布した農地でキュウリの栽培を行う実証実験を開始しました。フルボ酸は、古代の海洋植物が微生物により分解され堆積した地層より得られる腐植物質の一種で、土壌改良や植物の生育促進に効果があるとされています。この実験では、土壌の微生物の変化、作物の収量、品質、病害虫耐性等を継続的に調査し、作物生産や土壌蘇生に対するフルボ酸の活用効能を検証しています。

土壌から始まる健康づくり:私たちにできること

プラネタリーヘルスの視点から考えると、土壌の健康を守ることは、地球環境と人の健康を守ることにつながります。では、私たち一人ひとりができることは何でしょうか。

例えば、自分の健康を考えて、野菜がどんな土壌で育てられているかに関心を持つことは、ひいては生産者の方が健康な土壌づくりを行うエネルギーになるでしょう。

また、家庭で出る生ごみをコンポスト化して土に還したり、光合成細菌などの有用な微生物を活用したりすることも、身近にできる土壌への貢献です。ミライワ腸内フローラ解析キットには、水質浄化や土壌の肥沃化に働く光合成細菌のミニボトルが同梱されています。排水とともに流したり、土にまいたりすることで、日常生活の中でも環境への貢献ができます。

私たちにできること

このように、土壌の健康に目を向け、日々の選択や行動を少し変えるだけで、私たちは地球環境と自分自身の健康を同時に守ることができます。自分にとってのプラスが、地球にとってのプラスにつながる。これこそが、プラネタリーヘルスの考え方の核心なのです。

土壌から始まる未来への一歩

土壌は、目に見えない小さな菌たちの活動の場であり、地球の生態系の基盤です。健康な土壌を守り育てることは、私たちの食べ物の質を高め、健康な身体をつくる基礎となります。同時に、地球環境の健全性を保つことにもつながっています。

イービーエムの菌活ブランド「ミライワ」は、こうした「土壌から始まる健康」の視点を大切にし、人と地球の健康を同時に考えた取り組みを進めています。「未来はプラス、未来へのプラス」というブランドコンセプトには、人の健康だけでなく、地球環境も含めた未来がもっと楽しみになるような、持続可能な社会を目指す想いが込められています。

一人ひとりが土壌の大切さを理解し、日々の選択に活かしていくことで、プラネタリーヘルスの輪が広がっていきます。土壌から始まる健康の循環を、未来へとつないでいきましょう。

土壌から始まる未来への一歩